美容室のリピート率、平均は?リピーターを獲得できる明日からできる5つの施策

美容室の経営でリピート率が上がらず、新規集客に頼るばかりで不安を感じていませんか。

本記事では、全国のリピート率の平均値と比較しながら、お客様が失客してしまう3つの原因を分析します。その上で、明日からすぐに実践できるリピート率向上のための5つの施策を具体的に解説。

顧客満足度を高めるカウンセリングからLINE活用まで、リピーターを増やし安定経営を実現するためのヒントにしてください。

美容室のリピート率 全国平均はどのくらい?

サロン経営を安定させる上で、リピート率の把握は極めて重要です。

しかし、自店の数値が業界全体で見て高いのか低いのか、判断基準がなければ適切な目標設定は難しいでしょう。

まずは、全国の美容室におけるリピート率の平均値を把握し、自店の現在地を確認することから始めましょう。

リピート率は、初めて来店された「新規顧客」と、2回目以降に来店される「既存顧客」とで分けて考える必要があります。

新規顧客のリピート率の平均値

美容室業界全体における新規顧客のリピート率は、一般的に30%前後と言われています。

これは、10人の新規顧客が来店した場合、3ヶ月以内に再来店するのは3人程度という計算になります。

クーポンサイトなどを利用して来店するお客様の中には、初回限定の割引を目的に様々なお店を試す方も少なくありません。

数多くの競合サロンが存在する中で、初めてのお客様に再来店していただくことは、決して簡単ではないことがこの数値からもうかがえます。

既存顧客のリピート率の平均値

一方、既存顧客のリピート率は平均で70%前後と、新規顧客に比べて格段に高い数値を示しています。

一度お店の技術や雰囲気を気に入っていただければ、多くのお客様が継続して通ってくださる傾向にあると言えるでしょう。
サロン経営の安定化には、この既存顧客のリピート率をいかに高く維持し、固定客となっていただくかが鍵となります。

リピート率から見る優良サロンの基準

平均値はあくまで目安であり、繁盛しているサロンはさらに高いリピート率を誇ります。経営を安定させ、さらに成長させていくためには、平均値を超える目標設定が不可欠です。

優良サロンと呼ばれるための具体的な基準値を以下の表にまとめました。

顧客区分平均的なサロン優良サロンの目標値
新規顧客のリピート率30%前後50%以上
既存顧客のリピート率70%前後90%以上

新規顧客のリピート率が50%を超えると、集客コストを抑えながらも着実に顧客数が増加し、経営が安定軌道に乗ります。

さらに、既存顧客のリピート率を90%以上の高い水準で維持できれば、お客様との間に強い信頼関係が築けている証であり、長期的に安定した売上基盤を持つ優良サロンと言えるでしょう。
まずは自店の数値を正確に算出し、この目標値との差を把握することが、リピート率改善の第一歩となります。

なぜ美容室の経営でリピート率の向上が重要なのか

美容室の経営において、新規のお客様を呼び込むための努力はもちろん欠かせません。

しかし、それ以上に一度ご来店いただいたお客様に再び足を運んでもらうこと、つまりリピート率の向上が、サロンの持続的な成長と安定の鍵を握っています

多くのサロンが新規集客に多大なコストと労力をかけていますが、実は既存のお客様を大切にすることこそが、最も効率的で効果的な経営戦略なのです。
この章では、なぜリピート率の向上がそれほどまでに重要なのか、具体的な理由を掘り下げて解説します。

1対5の法則 新規集客よりリピーター獲得が効率的な理由

マーケティングの世界には、「1対5の法則」という有名な法則があります。

これは、新規顧客を1人獲得するためにかかるコストは、既存顧客を1人維持するコストの5倍かかるというものです。
この法則は、美容室の経営にもそのまま当てはまります。

新規のお客様に来店していただくためには、ポータルサイトへの広告掲載、チラシの配布、ウェブ広告など、多額の広告宣伝費が必要です。

さらに、初回限定の大幅な割引クーポンを提供することも多く、利益率は低くなりがちです。

一方で、既存のお客様(リピーター)の維持にかかるコストは、DMの送料やLINE公式アカウントの配信費用、ささやかな再来特典など、比較的低く抑えることができます。

このコスト構造の違いを理解することは、利益を最大化する上で非常に重要です。以下の表で、具体的なコストの違いを確認してみましょう。

項目新規顧客の集客既存顧客の維持(リピート促進)
主な施策ポータルサイト広告、Web広告、SNS広告、チラシ、初回割引クーポンDM、ニュースレター、LINE公式アカウントでの情報発信、次回予約特典、会員ランク制度
コストの目安高い(広告宣伝費、大幅な値引き)低い(通信費、軽微な特典費用)
利益率低い傾向高い傾向

このように、新規集客に偏った経営は、売上があっても利益が残りにくい構造に陥りやすいのです。

リピーターを増やすことは、広告宣伝費を抑制し、サロンの利益率を直接的に改善する、最も賢明な方法と言えるでしょう。

売上を安定させ長期的な経営基盤を築く

リピート率の向上は、短期的な利益改善だけでなく、長期的な経営の安定化にも不可欠です。
リピーター、すなわち「固定客」は、サロンにとって最も価値のある資産となります。

まず、リピーターは流行や季節による集客数の変動を受けにくく、定期的かつ安定した来店が見込めるため、サロンの売上の土台を強固なものにしてくれます

毎月の売上予測が立てやすくなることで、資金繰りの計画や新たな設備投資、人材採用といった未来に向けた戦略も安心して進めることが可能になります。

さらに、リピート率の向上は「LTV(Life Time Value/顧客生涯価値)」の最大化に直結します。

LTVとは、一人の顧客があなたのサロンと取引を開始してから終了するまでの間に、どれだけの利益をもたらしてくれるかを示す指標です。

例えば、客単価10,000円のお客様が一度きりの来店で終わってしまえばLTVは10,000円ですが、年に4回、5年間にわたって通い続けてくだされば、LTVは200,000円(10,000円×4回×5年)にもなります。

このように、お客様と長期的な関係を築くことで、一人ひとりのお客様が生み出す価値は何十倍にも増大するのです。

加えて、満足度の高いリピーターは、単に再来店してくださるだけではありません。
家族や友人におすすめしてくれる「紹介」や、口コミサイトやSNSでのポジティブな評価といった形で、広告費をかけずに新たな優良顧客を呼び込む「歩く広告塔」としての役割も担ってくれます。

これにより、コストを抑えながら新規顧客を獲得できるという、理想的な好循環が生まれるのです。
売上の安定、LTVの向上、そして質の高い口コミによる新規顧客の獲得。

これらすべてが組み合わさることで、美容室は競合に左右されない強固な経営基盤を築くことができます。

お客様がリピートしない3つの大きな原因

お客様が一度来店されたきり、二度と足を運んでくれなくなる「失客」。

実は、多くのお客様は不満があっても直接サロンに伝えることなく、静かに去っていきます。
このようなお客様は「サイレントクレーマー」とも呼ばれ、ある調査では不満を感じた顧客の96%が何も言わずに去るというデータもあります。

失客を防ぎ、リピート率を向上させるためには、まずお客様がなぜ再来店しないのか、その根本的な原因を理解することが不可欠です。

原因1 技術や仕上がりがイメージと違った

お客様がリピートしない最も大きな理由の一つが、施術の仕上がりに対する不満です。

これは単に「カットが下手だった」という技術的な問題に限りません。むしろ、カウンセリングの段階でのお客様とのイメージ共有の失敗が原因であることが多いのです。

お客様が持参した写真の通りに仕上げたとしても、お客様の髪質や骨格、ライフスタイルを考慮した提案がなければ、自宅での再現が難しく「なんだかイメージと違う」という不満につながってしまいます。

また、髪へのダメージを考慮しない無理な施術や、専門用語ばかりで分かりにくい説明も、お客様の信頼を損ねる原因となり得ます。

お客様は施術の失敗をその場で指摘しづらいものです。
「修正をお願いするのも気まずい」「きっとこのサロンでは理想通りにならないだろう」と感じさせてしまえば、次の来店は期待できないでしょう。

原因2 接客態度やお店の雰囲気が合わなかった

たとえ技術に満足していたとしても、サロンでの居心地が悪ければお客様の足は遠のいてしまいます。

お客様は、髪がきれいになることだけでなく、サロンで過ごす時間そのものにも価値を感じています。
スタッフの何気ない言動やお店の雰囲気が、お客様にストレスを与えているケースは少なくありません。
具体的には、以下のような点が失客の原因となり得ます。

分類お客様が不満を感じる具体例
接客態度高圧的な態度、専門用語の多用、馴れ馴れしい言葉遣い、スタッフ同士の私語、商品の強引なセールス
お店の雰囲気BGMの音量が大きすぎる、店内の清掃が行き届いていない、待ち時間が長い上に説明がない、他のスタッフへの指示が乱暴
コミュニケーションプライベートな質問をしつこくする、会話が弾まず気まずい沈黙が続く、お客様の悩みに寄り添う姿勢が見えない

良かれと思ってした会話やアドバイスが、お客様にとっては不快に感じられることもあります。
お客様一人ひとりの雰囲気や反応を注意深く観察し、心地よい距離感を保つ接客が求められます。

原因3 再来店するきっかけを忘れてしまった

技術や接客に大きな不満がなくても、「なんとなく」再来店しないお客様も実は非常に多いのです。

これは、お客様にとってあなたのサロンが「絶対にまた来たい」と思える特別な存在になれていないことを意味します。

多くのお客様は複数の美容室を比較検討しており、より魅力的なクーポンやキャンペーンを提示する他のサロンに流れてしまうことは珍しくありません。

特に、お帰りの際に次回の提案がなかったり、来店後のアフターフォローがなかったりすると、お客様は「次いつ来ればいいのか」分からなくなってしまいます。

日々の忙しさの中でお店の存在自体を忘れられてしまい、髪を切りたいと思ったタイミングで他のサロンを予約してしまうのです。

お客様との関係性を維持し、再来店を促すための「きっかけ作り」ができていないことは、静かですが非常に大きな失客原因と言えるでしょう。

美容室のリピート率を上げる明日からできる5つの施策

リピート率の重要性や顧客が離れてしまう原因を理解したところで、次はいよいよ具体的な施策について解説します。

ここでご紹介するのは、明日からでも実践できる再現性の高い5つの施策です。自店の状況に合わせて、取り入れやすいものから始めてみましょう。

施策1 顧客満足度を高めるカウンセリングと提案力

お客様がリピートしない原因の多くは、技術や仕上がりへの不満です。

このミスマッチを防ぎ、顧客満足度を飛躍的に高める鍵となるのがカウンセリングです。お客様の期待を超える感動体験を提供できれば、自然と「またこの人にお願いしたい」と思っていただけるようになります。

カウンセリングで重要なのは、お客様の「なりたいイメージ」を正確に引き出し、共有することにあります。

単に希望の髪型を聞くだけでなく、普段のライフスタイル、髪の悩み、ファッションの好みなどを深くヒアリングしましょう。

その上で、髪質や骨格、顔の形といったプロの視点から、お客様一人ひとりに最適なスタイルを提案することが求められます。
言葉だけでは伝わりにくいイメージは、ヘアカタログやタブレット端末の画像を見せながらすり合わせることで、認識のズレをなくすことができます。

また、施術中のコミュニケーションも大切です。

「今から〇〇をしますね」「この工程は〇〇という効果があります」といったように、一つひとつの作業を丁寧に説明することで、お客様は安心感を抱き、サロンへの信頼を深めてくれるでしょう。

施策2 次回予約をその場で獲得する仕組みづくり

どれだけ満足度の高い施術を提供できても、お客様が次回の予約を忘れてしまってはリピートにつながりません。

「また行きたい」という気持ちが最も高まっている施術直後のお会計時に、次回の予約を促す仕組みを構築することが重要です。

ただ「次回予約はいかがですか?」と尋ねるだけでは、なかなか成約に結びつきません。
プロとして、今回のヘアスタイルを美しく保つための最適な来店周期を具体的にお伝えしましょう。

「今回のカラーですと、1ヶ月半後くらいに根元が気になってくるので、〇月〇日頃にご来店いただくのがおすすめですよ」といったように、根拠を示すことでお客様は納得しやすくなります。

さらに、次回予約をしていただいたお客様への特典を用意するのも非常に効果的です。
割引やトリートメントサービスなど、お客様が「お得感」を感じられるインセンティブを提供することで、予約率の向上が期待できます。

施策3 お客様との関係性を深めるアフターフォロー

お客様がサロンを出た後も、関係性は終わりではありません。

むしろ、来店後のきめ細やかなアフターフォローこそが、お客様をファンに変えるための重要なステップとなります。美容室が「髪を切る場所」から「特別な時間を過ごす場所」へと変わるきっかけになるのです。

最も手軽で効果的なのが、来店後24時間以内に送るお礼のメッセージです。

LINEやメールで「本日はご来店いただきありがとうございました」という感謝の気持ちと共に、自宅でのスタイリング方法やヘアケアのアドバイスを添えることで、お客様の満足度はさらに高まります。

手書きのサンキューレター(DM)も、温かみが伝わり特別感を演出できるためおすすめです。

また、誕生日や記念日といった特別なタイミングでメッセージカードを送るなど、お客様一人ひとりを大切に思っている姿勢を示すことで、お客様との心理的な距離はぐっと縮まり、長期的な信頼関係を築くことができるでしょう。

施策4 LINE公式アカウントを活用した継続的なアプローチ

今や多くのお客様が利用しているLINEは、リピート促進に欠かせないツールです。

LINE公式アカウントを運用することで、お客様の手元に直接、継続的に情報を届け、お店のことを思い出してもらうきっかけ-strong>を作れます。

まずは、店頭で友だち追加を促す仕組みを整えましょう。追加してくれた方限定のクーポンを用意するなど、お客様にとってのメリットを提示することがポイントです。

友だちが増えたら、キャンペーン情報や季節に合わせたヘアケア情報、スタッフの日常などを定期的に配信し、お客様との接点を維持します。

LINE公式アカウントの強みは、顧客情報に基づいた「セグメント配信」ができる点です。

例えば、「最終来店から2ヶ月経過したお客様」や「トリートメントメニューを利用したお客様」など、特定の条件で絞り込んだグループに対して、それぞれに最適化されたメッセージを送ることで、開封率や反応率を高めることができます。

これにより、画一的な情報発信ではなく、一人ひとりに寄り添ったアプローチが実現します。

機能具体的な活用方法
メッセージ配信キャンペーン告知、新メニュー紹介、季節のヘアケア情報などを一斉配信またはセグメント配信する。
ショップカード紙のポイントカードを電子化。来店ごとにポイントを付与し、特典と交換できるようにする。
クーポン友だち追加時や誕生月にクーポンを配布し、来店を促進する。
LINEチャットお客様からの予約や髪の悩みに関する相談に個別で対応し、信頼関係を構築する。

施策5 顧客管理システム(CRM)で情報を一元管理する

ここまで紹介した施策の効果を最大化するために不可欠なのが、顧客管理システム(CRM)の導入です。

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。お客様の情報をデータとして一元管理し、一人ひとりに合わせた質の高いサービスを提供するための土台となります。

美容室向けのCRMでは、お客様の基本情報はもちろん、過去の来店日、担当者、施術メニュー、会話の内容、好みなどを詳細に記録できます。

これらの情報を施術前に担当スタイリストが確認することで、前回からの変化を踏まえた提案や、お客様の記憶に残る会話が可能になります。

例えば、前回の会話で「来月旅行に行く」と話していたお客様に「ご旅行はいかがでしたか?」と尋ねるだけで、お客様は「自分のことを覚えていてくれた」と特別な感情を抱くでしょう。

こうした細やかな心遣いが、他店との差別化につながり、お客様の心を掴むのです。CRMに蓄積されたデータは、LINEのセグメント配信やDM送付対象者の抽出にも活用でき、あらゆる施策の精度を高めることができます。

管理項目活用例
基本情報氏名、年齢、誕生日、連絡先など。誕生日特典のDM送付などに活用。
来店・施術履歴来店日、担当者、施術メニュー、料金など。来店周期の分析や最適な次回提案に活用。
カルテ情報髪質、アレルギーの有無、使用薬剤など。安全で質の高い技術提供の基礎情報とする。
会話・カウンセリング内容お客様の悩み、ライフスタイル、趣味、好みなど。次回来店時の会話や提案の質を高めるために活用。

自店の数値を把握しよう 美容室リピート率の計算方法

感覚的な経営から脱却し、データに基づいた戦略的なサロン運営を行うために、リピート率の正確な把握は欠かせません。

数値を正しく計算し、自店の現状を客観的に分析することが、リピーター獲得に向けた改善アクションの第一歩となります。

ここでは、目的別に使われる主なリピート率の計算方法と、その数値をどう解釈し、経営に活かしていくのかを具体的に解説します。

リピート率の計算に必要な基本データ

リピート率を算出するためには、まず店内のデータを整理し、必要な数値を準備する必要があります。

多くのサロンでは、POS(販売時点情報管理)システムやCRM(顧客関係管理)といった顧客管理システムを導入しており、これらのツールから正確なデータを抽出することが可能です。

主に必要となるのは、以下の3つのデータです。

  • 期間内の総客数: 設定した期間内に来店されたお客様の総数(新規・既存を含む)。
  • 期間内の新規顧客数: 設定した期間内に初めて来店されたお客様の数。
  • 期間内のリピート顧客数: 設定した期間内に2回以上来店されたお客様の数。

これらのデータを月単位や90日単位など、分析したい期間で集計することから始めましょう。

【目的別】主なリピート率の計算式

美容室の経営状態を多角的に分析するために、リピート率は主に「新規顧客リピート率」と「既存顧客リピート率」の2つの指標で測られます。

それぞれの計算方法と、その数値が示す意味を理解していきましょう。

新規顧客リピート率の計算方法

新規顧客リピート率は、初めて来店したお客様が、その後どのくらいの割合で再来店してくれたかを示す指標です。

サロンの第一印象や初回来店時の満足度を測るための重要なバロメーターと言えます。 一般的に、美容室の来店サイクルを考慮し、90日(約3ヶ月)以内での再来店を基準に計算することが多いです。

計算式は以下の通りです。

新規顧客リピート率(%) = (特定期間内に再来店した新規顧客数 ÷ 前の期間に来店した総新規顧客数) × 100

項目数値
4月の新規顧客数50人
上記50人のうち、7月末(90日後)までに再来店した顧客数15人
計算式(15人 ÷ 50人) × 100
新規顧客リピート率30%

この数値が全国平均(約30%)と比較して低い場合、技術や接客、お店の雰囲気など、初回来店時の体験に何らかの課題がある可能性が考えられます。

既存顧客リピート率の計算方法

既存顧客リピート率は、すでにリピーターとなっているお客様が、引き続き来店してくれているかを示す指標です。お客様との長期的な関係性や、サロンへの愛着度(顧客ロイヤルティ)を測るために用いられます。

計算式は以下の通りです。

既存顧客リピート率(%) = (特定期間内に再来店した既存顧客数 ÷ 前の期間に来店した総既存顧客数) × 100

項目数値
4月の既存顧客数200人
上記200人のうち、7月末(90日後)までに再来店した顧客数150人
計算式(150人 ÷ 200人) × 100
既存顧客リピート率75%

既存顧客のリピート率は、安定したサロン経営の基盤となる数値です。

この数値が平均(約70%~80%)よりも低い場合は、お客様が離れてしまう原因、例えば「マンネリ化」や「コミュニケーション不足」などがないか見直す必要があります。

リピート率を分析する際の注意点

算出したリピート率を、ただ眺めているだけでは経営改善にはつながりません。

数値を正しく活用するために、以下の2つの点に注意してください。

1. 適切な計測期間を設定する

リピート率を計算する期間は、自店の顧客層の平均的な来店周期に合わせることが重要です。

例えば、カットのお客様が多いサロンであれば60日〜90日が適切かもしれませんが、カラーやトリートメントで頻繁に来店されるお客様が多い場合は、より短い期間で計測しないと実態が見えにくくなります。

自店のPOSシステムなどで顧客の平均来店周期を確認し、最適な期間を設定しましょう。

2. 店舗全体だけでなくスタイリスト別にも分析する

店舗全体のリピート率を把握することはもちろん大切ですが、スタイリスト個々のリピート率を算出することで、より具体的な課題が見えてきます

特定のスタイリストの数値が低い場合は、技術やカウンセリングに課題があるかもしれません。

逆に、高い数値のスタイリストがいる場合は、そのスタッフの接客方法や提案内容を分析し、店舗全体で共有することで、サロン全体のレベルアップにつなげることが可能です。

リピート率の計算と分析は、お客様の満足度を可視化し、経営課題を明確にするための健康診断のようなものです。

定期的に数値を計測・分析し、データに基づいた改善サイクルを回していくことが、お客様に長く愛されるサロンを築くための鍵となります。

まとめ

美容室の安定経営において、リピート率の向上は極めて重要な課題です。お客様がリピートしない原因は、技術や接客への不満だけでなく、単純に来店のきっかけを忘れてしまうことにもあります。

この記事で解説したカウンセリングの強化や次回予約の提案、LINEなどを活用した継続的な関係づくりは、リピーター獲得に直結するでしょう。

まずは自店のリピート率を正しく計算して現状を把握し、できる施策から着実に実践していくことが、お客様に愛されるサロンへの第一歩となります。